一般社団法人日本話しことば協会
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平日10時~17時

普段使っている 或いは 聞いている言葉で あれ? と気になる日本語について
“ことばおじさん”こと元NHKアナウンサー梅津正樹(うめづまさき)先生に聞いてみましょう。
皆さまからの気になる疑問をお待ちしております。梅津先生からの回答は直接皆さまにお届けします。
またご質問いただきました内容は『皆さまからのQ&A』に匿名で掲載されることがあります。
予めご了承のほどよろしくお願いいたします。
ご質問はこちらの質問箱からお願いいたします。
皆さまからのQ&A
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尊敬表現「お~ください」の形にはなっています。しかし「申し伝え」が気になるの
ですね。これは本来「言い伝える」の謙譲語とされています。
従って「お伝えください」とすれば違和感はないですね。
「申す」は「言う」の謙譲語Ⅱです。ところが「申し出る」「申し込む」などの複合動詞として使われる場合は、今日では謙譲の意味は全くないと解釈されています。そのため、
これらを尊敬表現にする場合は「申し出られる」「お申し出ください」「お申し込みください」「お申込みになる」のようにすればよいと文化庁が説明しています。その他「申し送る」「申し合わせる」「申し入れる」なども同じとしています。
そこで「申し伝える」も複合動詞と考えれば、「お申し伝えください」は正しい尊敬表現ということができます。どう受け止めるかは、人によって違うのではないでしょうか。(私見ですが「申し伝える」には謙譲の意味を強く感じています。)
(また「お申し出ください」の代わりに「おっしゃってください」を使っています。)
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結論から言えば、おっしゃる通り二重敬語ではありません。
「ございますでしょうか」を分析してみましょう。
「ございます」は「ある」(補助動詞)の丁寧語です。問題は「でしょう」です。
ご質問の中で「でしょう」は「です」の丁寧表現と解釈していますが誤解です。
そのために、二重敬語ではないという説明が難しくなったのです。
「でしょう」は断定の助動詞「です」の未然形に推量の助動詞「う」の付いたものです。
つまり「だろう」の丁寧体であり、推量の丁寧な言い方なのです。
相手に問いかけ、同意を求めるのに用いることが多いとされています。
そこに疑問の意を表す、係助詞「か」が付いているのです。
従って「ございますでしょうか」を元に戻すと「あるだろうか」となります。
「質問はあるだろうか」ですね。「質問」「ある」「だろう」「か」は別々の言葉ですから、それぞれを敬語表現に変えても、二重敬語にはならないのです。
(私は「ございます」を相手に対して使う時には気を付けています。
理由は「ございます」は「私でございます」のように、もっぱら自分側のことを述べるとき
に使われるようになり、相手に使うと違和感を与えてしまう心配もあるからです。
「お客様は山田様でございますか」ではなく「お客様は山田様でいらっしゃいますか」と
する例を多く耳にするのは、そのためです。―文化庁も同様の説明をしています。―)
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